141字以上で述べよ

Twitterに嵌って3年、140字を超える文章を綴れない奇病を患った漫画原作者の戯言置き場です。

歌舞伎町でVR体験

超現実エンターテインメントEXPO、「VR ZONE SHINJUKU」で遊んできました。現実逃避の一環として。

その名の通り、新宿は歌舞伎町にその施設はあります。コマ劇場前広場が間近にあるので「龍が如くで出てきた場所だ! 本当に寸分違わずこうなんだ!!」と思わぬ聖地巡礼に大興奮しました。普通はゲームで「よく再現できてるな」と感動するはずなのに、順序が逆転している。

 

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それで、この施設では話題のVRを利用したアクティビティが15種類(2017年8月時点)楽しめます。VRって私もよく分からないんですけど、コンピュータの作り出した環境や映像を、現実として我々に知覚させる技術みたいです。

どういうことかっていうのは、体験したアクティビティを交えて紹介していきますね。不可能を可能にする凄いやつだなという感動を受けたので、それが伝われば幸いです。

 

■極限度胸試しハネチャリ

羽根のついた木製自転車で断崖絶壁から漕ぎ出して、雄大な自然の中を滑空しながら、天空にそびえるお城を目指す体験です。

実際は「ゴツいVRゴーグルを装着して、エアロバイクにまたがって、ハンドルを倒したり引いたり、ペダルを漕いだりする」という動作なんですけど、360度広がる大自然の映像と、頬に感じる風、自分の操作で変化する風景がここに加わると、途端に現実味が増すんですよね。

散々、仮想現実だと分かっていても、断崖絶壁から伸びた木の棒から自転車が押し出された瞬間、死を覚悟しましたもん。目を瞑ればどうということはないんでしょうけど、目を背けたくない体験なので……。

一応、制限時間があって4分で天空城に辿り着くというゲーム上の目標もあるんですが、装着したヘッドホンを通してスタッフさんが上手く誘導してくれますし、後ろや周りを見渡して雄大な自然を楽しみながら滑空するのも良いと思います。

現実でも空飛ぶ自転車は開発されていますが、「手軽に怪我しないで楽しめる」という点が大きいですね。VR体験上で死亡したら現実でも生命活動が停止する、そんな闇の遊戯ではないので安心です。

特殊な訓練を受けなくても、ペダルを漕ぐだけで空を飛べる。人間が翼を得たらどういう体験が出来るのか、エアロバイクで体感できるのがVRの凄いところです。

 

マリオカート アーケードグランプリVR

マリオカートってTVに映ったキャラクターを操作してレースを楽しむゲームですけど、これではなんとキャラクター視点でコースを爆走できます。

車の運転席を模した座席について、両手には黒いメリケンサックみたいなやつ(トラッカー?っていうらしいです)を装着。そうすることで、自分の手を動かすとキャラクターの手も連動するんですね。

レース開始前に、手を振ってみたり、ピースサインをつくったり、手を伸ばしてみたり……「本当に自分はマリオカートのキャラクターになっている!!」という実感が得られるんですよ。残念ながら自分の全体像は見えませんけど、相手が何をしているかは見えるので、友達同士で楽しむのにもってこいです。

この技術を応用すれば、映像で再現できるものなら何にだってなれるんですよね。キャラクターになりきるのはコスプレという文化があるんですが、ゴーグルを装着するだけで変身できるだなんて、少年少女から抱いていた夢の実現ですよ。

 

それで、これ、コース中に落ちているハンマーや緑コウラ、バナナの皮を掴んで相手に投げつけることができるので、より白熱したレースを楽しめます。「対戦ゲームで仮想現実とはいえ、初対面の人をぶちのめすのはちょっと……」という抵抗がある方も安心、コンピュータが操作する敵キャラも出てくるので、心置きなく妨害できます。

あまり大差がつかないようなゲームバランスになっているので、レースゲームが得意・苦手関係なく楽しめるように調整しているのが伺えて、流石の一言に尽きます。

ただ、夢中になりすぎて前方にしか注意が向かないので、せっかくの360度広がるコースの風景を楽しむ余裕がないです。ドッスンパックンフラワー、火の玉が間近に迫るので、ゲームのキャラクターも走馬灯を見ながら残機が減るんだろうなと思いました。

世界中で大人気のゲームなので、紳士然とした人達も一瞬で童心に返していたのが印象的でしたね。「すげー!!」「うおおおー!!」「きゃー!!」という絶叫が施設中に響き渡っていましたよ。人間の興奮ってここまで引き出せるんですね……。

ゲームセンターにもアーケード版があるから別にいいかなと思っている方ほど、体験して欲しいアクティビティです。

 

■釣り VR GIJIESTA

タモ型コントローラーと釣り竿コントローラーを使って、手つかずの大自然である釣り場で魚を捕獲するゲームです。

「やったことないよ!?」って人でも、ちゃんとスタッフさんが操作説明をしてくれて、予行練習する時間も与えられるので、そう臆することはありません。

6分間の制限時間の中、釣った魚の数や大きさを競うという対戦要素もあるんですけど、これ、凄く安らぐんですよね。綺麗な水辺の風景、せせらぎ、風。炎天下の歌舞伎町では到底味わえない体験ですよ。アウトドア用の椅子に座ってただただ釣り糸を垂らしていたい。癒やしの効果まで得られるVR、可能性が天井知らず。

魚が掛かった感触が竿ごしに伝わり、糸を巻き上げる操作と網で魚を掬う操作が加わることで「アウトドアしてる! インドアなのに! 不思議!」と脳が叫びました。

実は釣りを体験したこと、人生で1回も無いんですよね。仮想現実にのめり込む前にちゃんと現実を謳歌しろよって話なんですけど、「やってみたいけど敷居が高そう」って感じていたことが、こうして気軽に出来るのは、現実そのものを広げることに繋がるのかな、と。

魚が釣れたという成功体験を積めるので、釣りって楽しいんだ!→実際にやってみよう!っていう後押しになりそうです。施設内でルアーまで販売していたので、そういう意気込みも感じますね。

 

エヴァンゲリオンVR The  魂の座

第3新東京市に第10使徒が襲来、臨時パイロットとしてエヴァに乗り込み殲滅せよ。

これ、凄かった。何が凄いって、専用体感マシンがまず凄い。

足を伸ばす形になるんですけど(リクライニングチェアみたいな感じ)、その姿勢がパイロットとして動いている実感を掻き立てます。

格納庫から出撃する際の描写も凄い。360度広がる映像とマシン越しに伝わる衝撃を全身で感じられてですね、絶え間なく目線を動かしましたもん。監修した方の意地を感じる細かさ。LCL注入なんて、これ、滅茶苦茶こだわったんでしょうね。操縦席内部に液体がゴポゴポと満たされていくの、仮想現実だということを忘れて、思わず息を呑みましたよ。

で、使徒と呼ばれる敵を協力して倒すんですけど、難易度が凄い。初見クリア率1割未満とのことです。殲滅するはずが、殲滅される。

操作自体は簡単ですけど、弾薬が切れるのでランダムに出現するビルまで移動して補充しつつ、使徒からの攻撃は避けつつ、適度な距離を保ちながら、あるかどうか分からない使徒の弱点に照準を合わせて攻撃……これをチュートリアル無しでやるのは鬼畜の所業。ゲームの負けイベントじゃん。

ボイスチャット機能がついているので、友達同士ならある程度の連携が取れますけど、初対面の人と戦場を共にすることだってあり、基本的には全員が初見プレイの初心者なので、戦闘中に会話できたところで、効果的に働きません。断末魔や絶叫がこだますることになります。

巨大な使徒に精一杯抗うも、理不尽に屠られる。英雄になれなかったパイロットの気持ちをこれでもかと味わえます。これ、殲滅したらしたらで達成感が凄いでしょうね。周回プレイで何度も挑戦する人達もいたので、私も再チャレンジしたいところです。

 

■サマーレッスン 宮本ひかり

アクティビティとは違うんですが、大好評発売中の「サマーレッスン」というゲームの試遊台があったので、やってみました。PS VRを装着する形になります。

女子高校生の家庭教師を1週間務めるゲームでして、今回は体験版なので「家庭教師をするのでヨロシクね」という顔合わせをする設定。以下に感想を箇条書きで。

 

・学校から帰ってくる女子高校生を彼女の部屋で待機する。事案じゃん

・事あるごとに滅茶苦茶、顔を近づけてくる。私の間合いに入らないで

・YES/NOを首の縦振り横振りで選択できるの画期的

・女子高校生より、部屋や喫茶店の内装に目を奪われる

・VR世界遺産とかVR日本の名所とか出して欲しい

・コントローラーを耳元にあてることで携帯電話の通話を再現

・仮想現実を”現実”とするための創意工夫に溢れている

 

こう、女子高校生が可愛いというよりも「VR凄い、こういうのを自宅で出来るの凄い」って鼻息荒くしました。おっさんと居酒屋でサシ飲みできるソフトや、日本家屋で柴犬と一夏を過ごすソフトが出たら、仮想現実を終の住まいとしそうで怖い。

 

■まとめ

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歌舞伎町に大人の遊園地が出来た、っていう感じです。

最初は「4400円もするんだ……ちょっとした遊園地で豪遊できるじゃん」とか「アクティビティ待ちの行列が長すぎる、これが仮想現実ならいいのに……」とか思っていましたけど、ひとたび体験すると、また行っていたいと思いますね。

大自然を空飛ぶ自転車で満喫したり、マリオカートのキャラクターになりきってコースを爆走したり、歌舞伎町でまさかの釣りを楽しんだり、エヴァパイロットになって使徒を殲滅したり……遊園地ほど広大な敷地が無くても、VRの技術があればそれに匹敵、それ以上のエンターテインメントが楽しめる。

こうして体験出来る環境が整っていることを、とても嬉しく思います。もっと一般に普及したらゲームセンター感覚でVRが楽しめるんでしょうね……!

今は、PS VRの購入ボタンにカーソルを合わせています。更新が途絶えたら、そういうことだと思って下さい。